投稿者「スタッフ」のアーカイブ

指導の仕方!?

先日、数々の名プレーヤーを育てた先輩とお話しする機会を得ました。

選手を伸ばす指導法についていくつか面白いキーワードがあったので、それを少しご紹介します。

先輩:俺は長年選手を育ててきたけれど、モノになる選手は、練習を自分なりに解釈して、それに意味をもたせて、それを追及している

私:へぇー、例えばどんな感じですか?

先輩:ただ単に、指導者が言っていることをこなす選手は、試合で考えることをしない。ところが、指導者が言っていることを自分なりの解釈で咀嚼している選手は、試合でその引出しを使おうとする。

私:練習でやってることが試合でてくるんですね。

先輩:そう。ところが、おもしろいことに、指導者が意図としたことと違う形で練習の成果がでてきたりすする。それが、自分なりに解釈して咀嚼しているということ。単純なダッシュ、センタリングの練習でも、モノになる選手は自分なりのテーマを設定していて、言われなくても、何度も何度もできるまで繰り返しやるようになるから不思議だね。

私:そうなんですか

先輩:指導者側の努力としては、選手のいいところを、私の場合、褒めちぎることだね。長所ばかりを褒めちぎると、不思議と選手はやる気に満ち、そして、今、自分が足らないところ(短所)を改善しようと頑張り始める。

私:ふむふむ

先輩:これが、不思議と、「これがダメだ、練習しろ」と言い始めると、選手はふてくされたり、チームが勝てないのは監督、コーチのせいだと文句を言い始めたりする。短所に触れる場合でも、せいぜい、「こんなにうまいのに、あとこれがよかったら(短所が改善されたら)、鬼に金棒なのにな・・・」と、小声でつぶやくくらいだな

身に覚えのある方、ためしに、明日から部下や奥さん、子供を褒めちぎってみてはいかがでしょうか?

レアル・マドリードのセレクションについて

最近、レアル・マドリードが実施しているセレクションについて色々と質問をいただく機会があります。E+Uが実施する「チャレンジキャンプ」との関係も深いので、すこし詳しくご紹介したいと思います。

レアル・マドリードが行うセレクションには大きくわけて2つがあります。

(1)レアル・マドリードに属するスカウティング部が、スペイン国内、場合によっては海外まで出かけていき、個人を直接、スカウトする
(2)レアル・マドリードのスカウティング部に、書類で応募をして、年間を通じてのセレクションのセッションに参加する

ご想像のとおり、(1)のスカウティングによる合格者が全体の90%以上で、(2)を通じての合格者は毎年3000-4000人と言われる応募者のなかから1人から2人の合格者がでる程度です。

(1)はレアル・マドリードのスカウティング部が直接、自分たちのネットワークを使ってリサーチを実施し、独自の評価をして選手をセレクションしていきます。

(2)はスペインのサッカーシーズン(9月-6月)にあわせて、一次選考、二次選考・・・という形で、複数回のセレクションが毎月1-2回程度、週末に実施されます。レアルマドリードのスカウティング部には10数名程度のスタッフがいますが、彼らは(1)の活動のためにほとんどがスペイン各地で行われているリーグ戦を見に行っており、毎月1-2回程度、週末に重なる(1)のセレクションを担当できるスタッフは限られてしまう状態です。

とはいえ、3000人の選手を10か月間(40週)で、書類選考も含めて、一次選考、二次選考・・・・と複数の選考会を実施しなければならないわけですから、レアル・マドリードのスカウティング部に属するスタッフだけでは、到底対応できません。そこで、外部から20数名の元レアル・マドリードの関係者及び練習試合や交流をもっている近郊クラブのコーチを「トライアルコーチ」としてお手伝いをお願いする形でセレクションを実施していきます。トライアルコーチは、このプロセスを通じて、3000人をレアルマドリードのスカウティングスタッフが対応でき、かつカンテラの練習参加で評価できる人数まで減らしていくのです。

3月から6月まで、(1)、(2)及びレアル・マドリードファンデーションキャンプ等、さまざまな形で、選抜された選手たちはカンテラの練習や試合に参加することで、その潜在能力や実力を、カンテラの監督、コーチに評価されます。カンテラの監督は、その選手の評価レポートを作成し、そのレポートに基づいて、レアル・マドリードスカウティング部と協議し、最終選考を行っていきます。「チャレンジキャンプ in スペイン」は、カンテラチームとの練習と試合を通じて、この選考過程の一つに参加することになります。

我々が日本で実施しているレアル・マドリード・ファンデーションキャンプは、レアル・マドリードのサッカーに触れる機会をだれにでも提供致します。また、同時に、レアル・マドリードのカンテラの監督及びコーチを招聘することで、レアル・マドリードのカンテラでも通用する優秀な選手の発掘も目的としています。(1)のセレクションとの大きな違いは、

(A) 日本に居ながら
(B) (1)のレアル・マドリード外部のスカウティングスタッフではなく、カンテラの監督及びコーチに直接評価してもらい
(C) 数時間のセレクションセッションではなく、4日間のトレーニングプログラムを通じてパフォーマンスを評価してもらえる

です。

2013年夏にも全国各地でキャンプを予定しています。近日発表予定なので、そちらのほうも是非、チェックしてみてください。

pitch Field

CEサバデル vs ポンフェラディーナ 第29節 3月9日

第29節 「CEサバデル vs ポンフェラディーナ」が3月9日(日) 現地時間:午後8時 - 日本時間:10日(月)朝4時から、エスタディオ・エル・トラリン(8800人収容)にて実施されます。

第29節の上位チームの対戦ですが

順位 チーム名 得点 勝敗 順位 得点 勝敗
1 エルチェ 18 ミランデス
2 アルメリア 8 ラス・パルマス
3 アルコルコン 11 レクレアティーヴォ・ウエルヴァ
4 ジローナ 19 ウエスカ
5 ヴィジャレアル 12 スポルディング・ヒホン
6 FCバルセロナB 9 コルドバ
7 CEサバデル 10 ポンフェラディーナ

上位チームは下位チームとの対戦で、あまり勝ち点のやり取りはなさそうですね・・・・

6位:FCバルセロナB、7位:CEサバデルが、9位、10位との対戦・・・、順位的には近しい位置で、かつ上位を虎視眈々と狙っているチームとの対戦です・・・

CEサバデルは今週はホームでポンフェラディーナを迎え撃つ形ですから、是非、勝ち点3を取ってもらいたいものです。

前試合のグアダラハラの前半の失点は後半戦からチームに新加入したRaul Goniのオウンゴールで、後半にManuel Lanzaroteの得点で追いついて引き分けた経緯があります。アウェイだったとはいえ、もったいない話です。

第29節はホームゲームですから、つまらない失点などせず、ゴールを量産してほしいです!

がんばれ!サバデル!!

本物であること - 続編

ヨーロッパのサッカークラブにとって、一番大切なコンテンツは何だかわかりますか?はい、トップチームですね。では、育成ってどうでしょうか?

レストランに置き換えるとわかりやすいかもしれません。あなたがヨーロッパでレストランを経営していると考えて下さい。

一番大切なコンテンツは・・・「料理」です。そして、育成は・・・・「自家製農園、農場でつくる食材」と考えてください。

「自家製の食材」をつかって、レストランで「料理」をつくり、たくさんのお客さんに食べてもらってそのおいしさを証明し、「自家製の食材」を他のレストランに高く売る

それが、育成に力を入れているチームが行っていることですね。

前述しましたが、レストランで一番大切なのは「料理」です。「料理」を目当てにお客さんがやってきてお金を支払ってくれます。おいしい料理をつくるために、食材はどうしましょうか?自家製がいいですか?市場で買ってきたものがいいですか?それは、どういうレストランだということを宣伝文句にするかで異なりますね。

「自家製の食材を使ったおいしい料理」にひかれる客もいるし、「マーケットで最高の素材をつかったおいしい料理」にひかれる客もいるでしょう。経営者としては、どういうお客さんを相手にするかで、宣伝文句と料理を考えますよね。

さて、そんなレストランに、「自家製農園に入れてください。とびっきりのおいしい野菜になります」といって、野菜のことを知っているか知らない外国人が売り込みにきたら、あなたがレストランの経営者ならどうしますか?「いらない」と言ったら、「じゃ、お金を払いますから、自家製農園に入れてください。おいしくならなかったら捨てても構いませんから」と言ってきました。

あなたが経営者なら、もらえる金額次第、または、この外国人がだれか大切な友達の紹介なら考えるかもしれませんね。仮に農園に入れて一年間育てたとしても、おいしく食べられるかどうか、シェフが考える献立に使えるかどうか、最終的にはシェフに判断をゆだねなければなりませんが。

レストラン側の対応が経営者なら上の通りです。自家製農園といっても、広さや育てるスタッフの手間も限られます。おいしく育つか、そして食材として献立に合うかどうかわからないものをたくさん植えるわけにはいきませんね。

でも、このレストラン側の対応が、あまり給料が安い自家製農園の担当者だったらどうなりますか?

担当者:「いらない。場所がないから」

外国人:「「じゃ、お金を払いますから、自家製農園に入れてください。おいしくならなかったら捨てても構いませんから・・・」

担当者: 「じゃ、端の方に植えて帰ってくれていいよ。で、お金はいくらくれるの?」

外国人:「1000円お支払します。で、次の野菜も受け入れてもらえますか?その時もお金はお支払しますので。勿論、おいしくなかったり、ちゃんと育たなかったら捨ててください」

担当者:「いいよ、つぎは場所を少し広げておくので、植えてあげるから持っておいで」

外国人は、自国に戻って、野菜作りをしている農家に言います。

「ヨーロッパの有名店の自家製農園にあなたの作る苗木や種を入れてあげますよ。あの有名なレストランで使われる食材ということで宣伝になりますから、一本につき10000円支払ってください。これがみんなに知れ渡れば、あなたの野菜は飛ぶように売れますよ!」

レストランは、自分が商売しているヨーロッパではない、遠く離れた外国で、野菜を売るために自分のレストランの名前が使われていることを知りません。もし、知ったとしてもそれをどう扱うでしょうか?ブランドが傷つくからといってその外国の野菜農園に話をしに行きますか?あなたが経営者ならどうでしょうか?

残念ながら、これが、ヨーロッパのクラブと日本の育成で行われていることではないかと思います。

サッカークラブにとって、どういう食材なのかわかりやすいのは、南米、アフリカ人です。日本人は、よくわからない不思議な食材です。でも、自家製農園担当者は、喜んで受け入れてくれますよ。お金がなくて生活に困っていますから。

レストランだと野菜だからいいですが、サッカーに置き換えると、野菜はあなたの大切な子供になります。一番、大切なのは農園=育成チームに入れてもらうことではなく、料理になること=つまり、トップチームでゲームにでることです。

それができるレストランをつくること、農園をつくること、正しく育てること、が本物であることだと、切に思います。

 

 

 

 

 

 

永井が入団会見、通訳はGK川島?(2013年1月29日掲載)の続編

2013年1月29日のBLOGで「永井が入団会見、通訳はGK川島?」を書きましたが、その内容に関する追加記事が2013年3月1日付でNumberの中にありましたのでご紹介します。

現地連続インタビュー 小野裕二 x 永井謙祐 リエージュが日本人アタッカーを欲しがる理由

ご一読いただければわかりますが、やはりチームの意図がBlogでご説明したとおりだったことがわかりますよ。

ヨーロッパで戦うために、リエージュが日本人のための教育をしてくれるとは思えませんが、小野選手と永井選手の活躍を期待したいと思います。

これからヨーロッパを目指す選手は、是非、我々のシステムを利用して、たくさんのことを学び、何も話さないサッカー侍ではなく、日本人としてチームにとけこみ、チームを引っ張るリーダー的存在として飛躍してもらいたいものです・・・